ブルージャイアントは漫画家「石塚真一」さんの作品で、2013年から連載が開始された宮本大という少年がジャズサックスに目覚め、サックスプレイヤーとして成長していく様子を描いた作品です。
現在アメリカ編「ブルージャイアント エクスプローラー」がビックコミックにて連載中です。
👇前回の話
ブルージャイアント エクスプローラー第22話「RE RUN」
※2021年4月10日発売の8号に掲載された話です。
第22話「RE RUN」
ダイに詰られたアレックスは実家の店で入荷してきた商品の整理をしている
アレックス「父さん!これ全部を、棚に?」
無言で頷くアレックスの父
手際よく中国語の表記の書いた瓶を棚に片づけるアレックス
客「…ったく、英語表記なしってよ…」
客がアレックスに話しかける
客「よお、兄ちゃん。」
アレックス「ハイ。」
客「この瓶の中って、まさか変な動物の肉じゃねえよな?」
アレックス「それは鶏肉のラー油漬けです。」
客「ハハ…わかってよかったよ。英語で書かれてなかったからね。」
無表情な対応のアレックス
アレックス(…まぁ、いつものことさ。)
場面が変わりサンフランシスコの川辺にいるダイとジェイソン
車から荷物を降ろしサックスの練習をしようとしているダイ
ダイ「アレックスの奴、リハーサルに来るかなあ…」
ジェイソン「‼どういうこと?だって声かけたんだろ?」
ダイ「声もかけたけど、それ以外にもね。あの野郎、ジャズやるのに人種がどうのこうの言い出してさ。」
ジェイソン「人種?」
ダイ「そう、ジャズでは黒人が1番でアジア人は1番下だって…」
ダイ「『ジャス=ブラック』だって。だから頑張っても無駄だって。」
ジェイソン「ふーん、まあ言われてみれば…ラップなんかもエミネムはいるけど、やっぱりブラックの音楽って感じだし、逆にハードロックはホワイト的なね…」
ダイ「例えば、それが現実だったとして、楽器の上手い下手とは、関係ねえだろ‼って思うんだ。」
ジェイソン「まあ…ね。」
ダイ「だから言ってやったんだ。『このヘタクソ』って‼」「『ボケッとしてねえで、前向いてやることやれ』ってさ‼」
ダイ「で、一晩明けて僕はこう思うワケです。『あいつ来るかな~?』って『ちょっと言い過ぎたかな~』ってね。」
困った顔のジェイソン
ジェイソン「ダイ……どうだかね…」
ダイ「そうか…まぁ…リハーサルまで練習だ‼‼練習‼」
場面が変わりアレックスの実家の店、アレックスは作業をしている
客「すいません」
アレックス「ハイ」
客「XOジャンってあるかな?このソースと同じ会社の商品なんだけど。」
アレックス「ああ、ちょっと待ててくださ。」
商品を持ってくるアレックス
アレックス「これですか?」
客「そうそう、ありがとう‼これで作る豚肉炒めが最高でね~‼これを食べるたびに中国人に生まれたかったって思うんだよ。あと、チャイナタウンの小籠包を食べる時にも思うね!」
客「こうして君らは毎日食べているだろ?え?」
アレックス「ボクはサルサとチップスが好きです。」
客「ワッハッハッハ‼メキシカンか。こりゃ1本取られたな。アハハハ‼‼」
客「ありがとうー!まてね!」
アレックス「Bye」
場面が変わって『JAZZ T-TANK』のリハーサル会場
バンドメンバー(ベース)「デレク・ブラウンです。」
ダイ「はじめましてダイ・ミヤモトです。」
バンドメンバー(ピアノ)「どうも、ルイスです。」
ダイ「ダイ・ミヤモトです、これがサンフランシスコのラストライブなんです。どうぞよろしく。」
ダイ「早速なんだけど、今日やる曲の楽譜を…」
ちょっと遅れてやってきたアレックス、急いできたのか少し息切れしている
アレックス「Sorry, Im late 」
ダイ「来たな、ヘタクソ」「ハイ、今日やる曲だ。」
アレックス「OK」
ダイ「音源は各自聴いてくれた?」
デレク「聴いたよ」
ルイス「うん。」
アレックス「ボクも」
ダイ「よし、じゃあ楽器の準備ができ次第合わせよう。」
リハーサルが始まりダイは周りのバンドメンバーの様子を見ながらサックスを吹いてる
相変わらず怖い表情でドラムをたたいているアレックス
ダイ「ストップ、ストーーーップ‼」「アレ―――クス!何でベースについて行く!?お前がリードしろよ‼」
ダイ「頭から、ワン、トゥー…」
また演奏が始まってしばらくするとダイは演奏を止める
ダイ「まただ、アレックス‼ベースの方は見ないで叩けよ‼余計なこと考えるんじゃねえ!」
演奏がまた再開される
ダイ(よく来たなアレックス、確かにそうなんだよ。デレクのリズムは芯が強くてブレない。こっちが追いたくなるほどしっかりしている。黒人のDNAのせいとか思っているのか?だけどアレックスそう言うことじゃねえだろ。今日のリズムを決定するドラマーは、お前なんだから。)
ダイ「ストップ‼アレ~~ックス‼集中しろ‼集中して自分のリズムにノる‼OK?」
アレックス「…OK」
何度も演奏を止めてアレックスに指導するダイ
ジェイソン(またかよ…何度も何度も気の毒にあのドラマー…、軍隊的とでも言うのか…古いやり方って言うのか…ま、でも不思議と嫌な感じがしないんだよな。オレがあんな風に言われたら泣いちゃうだろうけど…)
リーサルが休憩に入り、アレックスが休憩しているところにジェイソンが近寄る
ジェイソン「クッタクッタってところだな。」
アレックス「ジェイソン…」
ジェイソン「本番も頼んだぞ。」
アレックス「OK」
ジェイソン「で、唐突なんだけど、サンフランシスコには、でかい中華系コミュニティーがあるだろう?そこから友人を呼べないか?」
アレックス「え?」
ジェイソン「席が埋まらないというか、正直こまってるんだわ。」
アレックス「でも、お店側の宣伝があるんじゃ…」
ジェイソン「いや、だってダイはアメリカでは全然知名度が無いもん。相当なインパクトが無いと全然集まらないわけよ。チケットが余りまくってさ。」
アレックス「半分は?」
ジェイソン「いや、良くて40%ってとこだね。現状」
アレックス「ダイでも…そんな感じなんですね…。」
ジェイソン「エージェントしてて思うけどさ、決して楽な業界じゃないね、ジャズってのは。」「ジャズ初心者の俺にとって一番有名なプレーヤーはダイ・ミヤモトで、一番すごいプレーヤーもダイ・ミヤモトだ。とはいえ、ブルーノ・マーズでもないからな~~~。」
アレックス「………」
ジェイソン「ま、本番までの間に友達呼べたら頼むよ。1人でも2人でも助かるんだ。」
アレックスとジェイソンの会話が終わり、アレックスが辺りを見渡すとダイとデレクがライブについて話していた
デレク「Bパートの後にもう一度Aを入れるべきだ!スムーズになる。」
ダイ「いや、それは違う‼ここでスムーズになる必要が無い‼ギャップが消えるから‼」
デレク「オレが話しているのは‟流れ”についてだ!ギャップを出す意味は何なのか?って!」
ダイ「意味?えーっとちょっと何て言えばいいべ…‼ビックリするじゃん‼不快感っていうか?覚えるじゃない、その方が!深い記憶っていうか?」
デレク「意味が分からねえよ。オレが言っている意味分かる?質問の意味が‼」
ダイ「もう一回頼む‼」
アレックス(へっっったくそな英語で、楽器吹く時代みたいに汗かいて。でも…自分の意志を伝えるために、必死にくらいついてっている…)
ダイは自分の意志をデレクに英語で必死に訴えている
店の外に出ているアレックスは携帯電話で友人に電話をしている
アレックスの友人(デビット・チャン)「おー、アレックスか。どうした?」
アレックス「急な話ですまないんだが…ジャズ聴きに来ないか?」
デビット「はあ⁉ジャズ!?」
アレックス「うん、今から。」
デビット「ジャズなんてまったく知らねえけど!?」
アレックス「まあ、いいから来…あ、いや、来てくれよ。」
デビット「お前…マジで言ってんの!?」
アレックス「もちろんさ。」
◆次号につづく◆
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