ブルージャイアントは漫画家「石塚真一」さんの作品で、2013年から連載が開始された宮本大という少年がジャズサックスに目覚め、サックスプレイヤーとして成長していく様子を描いた作品です。
現在アメリカ編「ブルージャイアント エクスプローラー」がビックコミックにて連載中です。
👇前回の話
ブルージャイアント エクスプローラー第16話「TENDERLY」
※2021年1月10日発売の2号に掲載された話です。
第16話「TENDERLY」
ライブ終了後にバンドメンバーのところに向かうダイ
ダイ「やぁ・・・」
ダイ「今夜はありがとう。」「良いライブだったと思う。本当にありがとう‼」
ルーク「こちらこそ!」
ウィル「Yeah.」
キャメロン「正直言ってもいいかい?」
ダイ「…正直?もちろん。」
キャメロン「君みたいなタイプの音楽家と一緒にプレーするのは初めてでね。」「良い経験が出来たと思う。緊張感と疲労感が残っている。充実した時間だったよ。」
ウィル「客も君のプレーに度肝を抜かれていたしな。」
キャメロン「そう。客も『充実した』って顔だった。」「そこで思ったんだけど、今夜で終わらせるんじゃなく、この4人でもっともっとライブしてもいいんじゃない?」
ルーク(オレが思っていたことを言ってくれたな、キャメロン‼)
ルーク「オレも、いいアイデアだと思うけど!」
ダイ(アメリカに来て初めてバンドを組もうって言われたべ…、こんなに嬉しい結果…あるのか?)
考え込んでいるダイ
ウィル&ルーク「……?」
キャメロン「ダイ?」
ダイ「行かないと。」
ウィル「行くって…どこに?」
ダイ「決まってはないけど、次の場所へ。」
キャメロン「次のライブのスケジュールが決まってるの?」
ダイ「いや、何も。」
キャメロン「だとしたら慌てずもう少しポートランドにいたっていいんじゃ・・・」
ダイ「う――――ん…」
ルーク「………」
ルーク(もし音楽旅をするならオレもメンバーに……どうかな?)
ウィル「アメリカに来てどれくらいだい?
ダイ「ちょうど1か月になるよ。」
ウィル「そうか。だとしたらダイは知らないと思うが、アメリカはダイが思っている以上にラフでタフな国なんだ。『安全な自分の居場所』を見つけるのは簡単な事じゃない。」「君にとってこの街はSafet zoneに成り得る。」「だが、一歩外に出たら何の保証も無い。誰も助けてくれない。」「それがこの国の現実さ。」
ルーク(そうそう、そうなんだよ。ダイ!)
ダイ「ありがとう。でも行くよ。どうしても止まりたくないから。」
ルーク「………」
キャメロン「そうか……」
ドリンクを飲んでいるダイを見ながらウィルが思っている
ウィル(凄え音だったよダイ。強くて凄みのあるサックス。だが、君のそのスタイルで、この国でこのまま戦っていけるのか…)
RONY LIGHTでの場面は終わり、翌日ホテルの場面に変わる
ダイ「ありがとうございました」
ホテルのフロントの男性と握手をするダイ
フロントの男性「どういたしまして。幸運をね。」
車に乗り込み運転するダイ
ダイ(ラジオ局のノーラン、ライブハウスのスタン、キャメロン、ウィル、ルーク、みんなのおかげでポートランドでやれることは全部やれた。あの店でコーヒーを買って行こう…)
コーヒーショップに着き、車を降り、店に入るダイ
ダイ「どうも…」
カフェ店員「へ――イ。アナタね。」「コーヒーLサイズね?」
ダイ「あ…はい。」
カフェ店員「元気?ミスター…」
ダイ「ダイ。ダイっていいます。」
カフェ店員「まあ、変わった名前ね。」
ダイ「ハハハ…みんなそう言うよ。日本語ではBigって意味なんだ。」
カフェ店員「へえ、そうなのね。それで調子は?」「ミスタービッグ?」
ほっぺが赤くなるダイ
ダイ「え。あ、や、あの昨夜は素晴らしい夜で―――なんか、ポートランドって良い街だな~って。」
ダイ「コーヒーも美味しいし。いやこの店コーヒーが美味しいのか。」
ダイ「そうだ…君に訊きたいことがあって……」
カフェ店員「…ナニ?」
ダイが照れながらカフェ店員に訪ねる
ダイ「き…君のフルネームを教えてくれないか?」
カフェ店員「シェリル。シェリル・ハント。」
ダイ「いい名前だね。忘れないよ。じゃあ…」
ダイ「Good bye. Sheryl.」
シェリル(カフェ店員)「食事でもどう?」「今夜、食事でもどう?」
場面が変わり川辺でサックスを吹くダイ
ダイ(もっと……もっと集中しなきゃ…)
ベンチに座り込みシリアスな顔から急にニヤけるダイ
ダイ「いや~~ウソみたい‼いや、夢みたいな~~、こんなことが起こったりするんだな~~」
ダイ「ん。」「んンんンんン‼?」
自分の汚い靴を見て考え込むダイ
場面変わって
店員「24.99ドルです。」
靴屋さんで新しい靴を買うダイ
店員「古い方は処分しますね。」
ダイ「ちょ、ちょっと待って‼」
古い靴を両手で持ちブツブツ言いだすダイ
ダイ「オレを色んなところに運んでくれて、本当に本当にありがとう。」
店員「?」
新しい靴を履いてシェリルとの待ち合わせの店の前に立つダイ
ダイ「…うん、ピシッとな‼」
白いワイシャツを着て、髪型を横分けにしているダイ
店員「シェリルはいつものIPA?」
シェリル「うん、お願い。」
店員「アナタは?」
ダイ「はい、コーラをください。」
シェリル「フードは飲み物の後にね。ありがとうジェフ。」
ダイの容姿に気付くシェリル
シェリル「なんだか昼間とは別人みたいね。」
ダイ「え…?や、そ、そう?」
シェリル「ダイは、苦手な食べ物ある?」
ダイ(シェリル…かわいいな。)
シェリル「ん?」
ダイ「あ…苦手なモノね…ないな、うん!」
料理が出てきて少し時間が経っておりお互いのことについて話している
シェリル「…うん。大学の時は離れたけど、あとは生まれた時からずっとオレゴン。ポートランドも長いわね。」
ダイ「そうかあ。だから知り合いも多いんだね。」
シェリル「そうね。特にポートランドは街全体が一つのコミュニティーみたいなの。」
シェリル「あなたは?ミスタービッグ。ダイは何をしている人なの?」
ダイ(き、きた‼ちぇんと説明しなきゃ…)
ダイ「ボクは…、僕はジャズプレーヤーなんだ。」
シェリル「Wow‼」
シェリル「Jazz⁉」
ダイ「うん。テナーサックスを、吹いているんだ。」
シェリル「ダイ、それ凄くステキ!」
ダイ「ハハハ…Thank you!」
シェリル「それで昨日、音楽について質問したわけね?」
ダイ「うん。」
ダイ「ボクはアメリカに、世界一のジャズプレイヤーになりに来たんだ。」
シェリル「なるほどね。アメリカンドリームって感じ。」
ダイ「まあ…ね。(夢じゃないんだけどな…)」
シェリル「それで、バンドにでも入ってるの?」
ダイ「前はね。でも今は1人。旅行…じゃなく探す…つか、アメリカを調査中。」
ダイ「日本でバンド組んで、その後ヨーロッパでもバンドで回ってたんだ。」
シェリル「ヨーロッパのどこ?」
ダイ「色んなところ。ドイツ、フランス、イタリア、デンマークとかとか………」
シェリル「ツアーバンドにいたって事?」
ダイ「まあね。」「あのバンドはヨーロッパでは、けっこう活躍したんだよ。」
シェリル「フーン…もしかしてアナタ、有名なの?」
ダイ「ジャズ好きな人が時々知ってくれてるけど、まだまだってところで、だから世界一になるって言ってもまーだまだ先が長い。というか、始まったばかりっていうか…」
シェリル「……待って…アナタ本気で世界一を目指しているの⁉」
ダイ「Yes.」
シェリル「……Oh……なんで、世界一になりたいの?」
ダイ「え?」
シェリル「お金の為?」
ダイ「いや。」
シェリル「名声の為?」
ダイ「いや。」「分からない、まったく分からないんだ。」
何かを思い出したように語りだすシェリル
シェリル「理由がないってことは、アナタ本気ってこと。そして、本当に音楽が好きってこと。」
ダイ「………」
シェリル「昨日お店にいた小説家のノーラン覚えてる?」
ダイ「もちろん。」
シェリル「彼が以前教えてくれての。私は理由もなくコーヒーが好きって言ったら、『それが本当に好きって事さ』って。」
シェリル「コーヒーだけじゃない。私はこの街も友人達も、夏の午後も、秋の色づきも、ファッションだって、みんな同じ様に好き。」
シェリル「ダイは、ジャズと同じぐらい好きなモノある?」
ダイ「え?や……、それは…何て言うか……」
シェリル「私は気持ちを分けて配れる。仕事にも、仲間にも、休日にも。」
シェリル「でも、アナタは、アナタの全部でジャズに向き合っている。だから1人になってるんでしょ?」
シェリル「私とアナタは、凄く違うんだね。」
うつむいたダイが顔を上げてシェリルに話しかけた
ダイ「シェリル!もう1軒、もう1軒だけ行かない?」
二人は2軒目のバーに移った
ダイ「ビールを、そのキャッスルって書いてある。」
シェリル「お酒飲まない人だと思っていた。あ、私も同じの。」
店員「Sure.」
ダイ「君にフラれたらすぐに出発しようと思っていたんだ。」
シェリル「ほらね。アナタは、音楽に全てをささげてる。」
ダイ「………」「なんで世界一になりたいか、今わかったよ……。」
ダイ「オレは傲慢で強欲で……それでもきっと、誰かの役に立ちたいんだ。」
シェリル「……なるほどね。そうなのね。」
ダイ「シェリル。正直に言うと、これで君と会うのが最後ってのは、さびしいなって思ってるんだ。」
さっと手をシェリルに出したダイ
ダイ「いつかまた会いたい。」
シェリルも手を出し握手する二人
シェリル「OK、またいつか、未来の世界ナンバーワンの人!」
ダイ「頑張るよ。」
店のカウンターで握手をして、再会を約束する二人
◆次号につづく◆
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ブルージャイアント エクスプローラー第16話 感想
アメリカでの単独ライブは小さいながらも大成功に終わったダイの今後についてが今回は描かれていました。
即席で作ったバンドのメンバーもダイの実力を改めて知ったうえでしばらくポートランドでライブ活動をしようと持ち掛けましたが、ダイはそれを断り次の街に行くと宣言しました。
思ったより早くポートランドを離れるんだなと思いましたね。もっと大きなフェスをするのだと思っていましたが、大自身がアメリカでの手ごたえを感じたんですね。
そして、まさかまさかのダイがシェリルに恋心を抱いていたんだとは意外でした。
結果、現時点では実らなかった恋でしたが、ダイが成功した暁にはもしかしたらシェリルを迎えに来るって展開もあるかもしれませんね。
ブルージャイアント エクスプローラー第17話 考察
早くもポートランドを離れる事を決心したダイは次にどこの街に向かうんだろうか気になりますね。
その前にポートランドで出会ったノーランとDJビリーの関係も気になります。
まだポートランドでDJビリーとノーランとダイの3人の絡みがないので、ここは出て来ると思います。
この出会いがダイがアメリカで成り上がっていくキッカケになるように思います。
そして町を出る時にはジェイソンとの絡みも出て来るのではと思います。
ダイの目指す先はとりあえずラスベガスに行くと思います。
ラスベガスはエンターテインメントの中心という事で、そこには絶対に行くと思いますので、その道のりから行くと次の街はサンフランシスコへ行くと思われます。
そこで、新たな出会いがあるのは間違いないと思われますが、どうなっていくのでしょうね。
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