現在アメリカ編「ブルージャイアント エクスプローラー」がビックコミックにて連載中です。
👇前回の話
ブルージャイアント エクスプローラー第13話「IN THE MOOD」
※2020年11月25日発売の23号に掲載された話です。
第13話「IN THE MOOD」
場面は大が止まっているMOTEL
大が楽器を背負ってフロントに向かう
大「おはよう。」
フロントのおじさん「やあ、おはよう‼お出かけかい?」
大「ええ、行ってきます。」
フロントのおじさん「今日は何をするんだい?」
大「それが…よく分からないんす。」
フロントのおじさん「あ…そ。まあ行ってらっしゃい…」
大(この街でオレがやれること…)
昨日の晩によったコーヒーショップ
大「グッドモーニング」
カフェ店員「ハイ!」「あら、昨夜の!」
大「コーヒーを。」
カフェ店員「Sure」「ハイ、どうぞ。」「良い日を―」
大「ありがとう。」「アナタも。」
店を出てコーヒーを飲みながら通りを歩いている大
横断歩道を渡った辺りでピタッと立ち止まりコーヒーショップに戻る大
大「あの…。」
店員に話しかける大
カフェ店員「あら、何か買い忘れた?」
大「いいえ。」「ちょっと、聞きたいんだけど」
カフェ店員「なに?」
大「どんな音楽が好きですか?」
カフェ店員「音楽?」「そうねえ……私はポップスとかレゲエとか、最近だとケイティ・ベリーとかアデルとか女性シンガーが多いかな。」
大「な、なるほど…じゃあ……」「ジャズは?」
カフェ店員「お店ではかけてるけど、私は聴かない。」
大「あ、そうなんだ…ありがとう。」
店を出て、通りを歩きながら考えている大
大(1人目は「ノー」…でも、本物の街の声だ。よし!街の声を、1つでも多く…)
別のコーヒーショップに入る大
ショップで水のペットボトルを買って話を聞く大
大「ちょっと聞いていいですか?」「どんな曲が好きですか?」
男性店員「はあ⁉音楽?」「まあ、ハードロックとかラップだね。」
次はセブンイレブンに入って聞く大
大「ハイ、どんな音楽を?」
男性店員「UKとかドイツとかその辺のロックだね。」
ボストンバックにペットボトルを大量に入れている大
大「……これじゃあ、質問するたびに重くなっちゃうベ――」「‼そうだ。」
大のひらめきは飲み物ではないものを買う事でした。
ショップ店員A「好きな音楽かぁ~、そうだなぁ…カントリーかな、強いて言えば。」
ショップ店員B「オレはね…ヒップホップだね。」
ショップ店員C「ロック。ハードロック、ソフトロック、ロックなら何でも。」
お菓子を買いながらいろいろな店の店員に好きな音楽を訪ねる大
ショップ店員D「ヘビーメタルだね。」
ショップ店員E「クラシック、ワグナー聴くと元気出るよ。」
ショップ店員F「60’sと70’sのポップス、ライチャス・ブラザーズとか好きだね。」
ショップ店員G「ラジオで流れてるポップス、とかね。」
ショップ店員H「聴かないね、音楽は。」
ショップ店員I「何でも。ネットで拾って聞くのが好き。」
大「何でも…ジャズは?」「聴きますか?」
ショップ店員I「フェスに行ってやってたら聴くぐらいかな。」
通りを歩きながら考えている大
大(思ってたよりずっとジャズは聴かれていないな…)
大(ただ、ポートランドの人達は、初対面、そしてアジア人のオレの唐突な質問にことごとく答えてくれる―――いい街だな。)
大(この街でナニかちゃんとやりたい…。)
歩いているとゴーガガーという音が聞こえる
大は近づいて何か見に行く
そこはスケートボード場だった
大「おお~~~‼」(スケボーの公園か⁉)
大はそこにいるジェイソンを見つける
大(あんのヤロ~…なんかすっかり、街にとけこんでんじゃんか…)
スケートボード上で楽しんでいるジェイソンを見て何かを思う大
大(ジェイソンの言う通り人は優しくて、勝ち負けにこだわる感じは無く、ポートランドでは多くの人が今を楽しむために生きている。)
いつものコーヒーショップに戻って来た大
カフェ店員「Hey!またアナタ。戻ってきたのね。今日だけで3度目!」
迷いが吹っ切れたような顔になる大
大「コーヒーを。」
カフェ店員「Sure.」「ハイ、ノーラン、カプチーノエクストラショット。」
常連らしきお客さんノーラン
ノーラン「ま、そういうわけだシェリル。」
カフェの店員の名前はシェリル
ノーラン「西のカジノだけは近づくなよ。スッカラカンになるまで巻き上げられる。」
大「?」
シェリル「心配ありがとう。でも、きっとは私一生カジノには行かないわ。」
大に向かって話しかけるシェリル
シェリル「今のオジサンね、ああ見えて結構有名な小説家なの。」
大「…小説家?」
シェリル「毎日のように来るけど、いつもギャンブルで負けた話。」「あ、ハイ、コーヒー。」
大「ありがとう。」
カフェのテラスでコーヒーを飲んでいる大、隣には小説家のノーランが本を読んでいる。
大(有名な人が、あんな風に暮らせるのか…。そうか、この街のリズムは…ゆったりしているんだ。それはいいじゃんか―――)
大(けどオレには、オレのリズムがある。)
ホテルへ戻る大
フロントのおじさん「やあ、お帰り。」
大「ちょっと教えて欲しいんですけど‼」「この場所への行き方を知りたいんです‼」
携帯電話の地図画面を指さしながら訪ねる大
フロントのおじさん「ホウソーン橋で東へ行ったら10マイルくらいかな。」
大「なるほど…‼」「ありがとうございます‼」
フロントのおじさん(朝の彼とは……別人みたいだな。)
車に飛び乗りどこかへ向かう大
大(行こう。構うもんか。どうせオレのことなんてしってるわけねえかんな。)
場所が変わってKCSDという看板の上がったラジオ局
DJ「続いてのナンバーは1957年の『MJQ』の貴重なライブアルバムから、『D&E』『ナウズ・ザ・タイム』2曲続けてお送りします。」
曲が流れてる間にラジオブースの外からビリーというDJを呼ぶ声が
DJビリー「ん?」
スタッフの女性「ラジオブースをのぞかせてくれって」「お客さんが」
女性スタッフが大を案内してビリーに紹介している
DJビリー(こんな小さなコミュニティラジオ局に…?)
大「はじめまして、ダイ・ミヤモトって言います。」
DJビリー「…ダイ…」
女性スタッフ「ジャマしないからっていうんだけど…いいわよね?」
DJビリー「君が⁉」
大「……?」
DJビリー「知っているよ‼テナーを吹いている、日本人の⁉」「だろ⁉」
大「え…?」
DJビリー「入って‼」
DJビリー「やあ~~~」「ポートランドにようこそ‼」
大「僕のこと…知っているのですか?」
DJビリー「ドイツのレーベルからアルバム出しているよね!ネット動画も見たしね!」
大「ええ…⁉でもどうして⁉」
DJビリー「当然さ‼ジャズのラジオのDJだよ、ジャズを聴くのは僕の趣味であり、仕事なんだから。」「それ楽器?」
大「あ、そうです!」
DJビリー「どうだろう?今から番組で吹いてくれないかな?」
大「…え。」(…こんなことが、起こるのか…)
ラジオ番組が再びはじまります
DJビリー「さあ、ここで何と特別ゲストの登場です‼先日までヨーロッパのジャズシーンで活躍していた日本人サックスプレイヤー『ダイ・ミヤモト』がスタジオに来てくれました‼」
DJビリー「挨拶より先に1曲、サックスで1曲吹いてもらいましょう。曲名は…」
大はビリーに向かって手書きの題名を書いた紙を見せた
紙には「Dear New Portland」と書いてあります
DJビリー「拝啓、新しいポートランド」
DJビリーが曲紹介をすると大はサックスを吹きだした
ビリーは大の演奏を聴きながら感想を思い浮かべていた
DJビリー(へえー…こんなゆっくりした曲を吹いていたっけ…?……うん、優しくて雰囲気あるね…)
すると大は足でトントントンと床を叩くと一気にサックスを吹きあげた!!
DJビリー「⁉」(うおお……‼これこれ‼まさにダイ・ミヤモトのサックスだ…!」
ビリーは大の演奏に圧倒されていました
そしてラジオのトークに移ります
DJビリー「なるほど、じゃあ旅はまだ始まったばかりだと…‼」
大「ハイ」
DJビリー「では最後に、ポートランドのリスナーに向けて一言‼」
大「えっと…僕はすごくジャズが好きです。」
リスナーに向けて大が言う
大「みんなは?」
◆次号につづく◆
BLUE GIANT SUPREME11巻とBLUE GIANT EXPLORER1巻同時発売
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ブルージャイアント エクスプローラー第13話 感想
今回は色々な登場人物が出てきました。
前回から出ていたコーヒーショップの店員のシェリル、その店の常連客の小説家ノーラン、そしてポートランドにある小さなラジオ局のDJビリーと大の周りに徐々に固有名詞が出てきました。
大がポートランドで感じたゆったり感と街のリズムが自分に合うのかどうかをずっと悩んでいたところだったのですね。
しかし、今回で答えがハッキリ出たようですね!
自分のリズムでいいんだ!あえて合わせる必要はない、自分らしく行こうという感じの答えが出たようです。
今回は話が進み、ようやくポートランドでサックスを吹くことが出来たようです。
ラジオに出たことで大自身のサックスプレイヤーとしての自己紹介が出来たと思います。
ブルージャイアント エクスプローラー第14話 考察
大がラジオに出たことによって話が進んでいきそうですね。
DJビリーが今回は大きなキーポイントになってきそうですね。
ここからジャズバーなどに出演していくのではないでしょうか。
ラジオを聞いていたリスナーから音楽関係者が出てきてポートランドのジャズフェスタにつながっていくような気がします。
次号が楽しみになってきますね!
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